さてノード「GCBT987」についてのレビューの完結編である。
注文していたコマを付けたのでやっと納得行く形で腕に巻くことが出来た。
予想通り装着感は非常に良い。
チタンということもあり今までの時計とは全く違う感覚だ。ありふれた表現になってしまうがまるで着けているのを忘れてしまうぐらいだ。
そして見た目はクレドールらしくない。それも私にとって重要なポイントだ。纏っている雰囲気は舶来の時計なのだ。
とはいえメイドインジャパンの時計、ファッションの本場、フランス、イタリアなどの一流デザイナーから見たら野暮ったい時計なのかも知れない。
日本人とヨーロッパ人とではもともとが違い過ぎるのだ。身長は高く、足も長い、なのに顔は小さい。そんなヨーロッパの一流のデザイナーがデザインした時計と日本人がヨーロッパを意識してデザインした時計には差があるだろう。
でも精一杯背伸びしているのが良いではないか。
スクエアの時計といえばタグホイヤーのモナコが有名だろう。レクタンギュラーならジャガールクルトのレベルソだ。
SEIKO社はこのシリーズを「レクタンギュラー」としているがほとんどスクエアに近いと思う。私はタグホイヤーならカレラより断然モナコ派だ。モナコほどスポーティーではないが比べるのはここら辺ではないか。Bell &RossのBR05あたりも比較対象になるのか。
しかしモナコもBR05もなんというかオシャレさん御用達感ありありで嫌だ。そういう時計は本当のオシャレさんがするべきだろう。私はその類の人間ではない。
レベルソは前の記事でも書いたがもっと歳を重ねて似合う時が来てその時まだ時計に興味を持っていたら購入したいと思う(そんなダンディーな人間にはなれなそうだが、、)
このノード「GCBT987」の発売当時の評判を私は知らない。しかし発売から15年経った今、これだけ出品が少ないのだからそういうことだろう。
推測するに前オーナーはGCBT987、989を二本持ちし、かつGCBT987をメタルバンドに換装している。当時に購入しているとしたら恐るべきセンスに頭が上がらない。是非時計のコレクションを拝見させてもらいたいものだ(センスというかクレドールの革バンドも裏地が汚れやすい素材なので単純にそれを嫌ったのかも知れない。それだとしてもそれを嫌うところも一緒だ。)
全く繋がりはないが同じ価値観というかセンスにシンパシーを感じる。
先人に同じような考えを持った方が居たからこそ私はそれを引き継ぐ事が出来た。
私にGCBT987を購入して純正メタルバンドをつける財力はない。今ならメーカーから純正バンドを購入するなら中古のGCBT989を購入して付け替えてしまった方が安上がりだ。
今回数々の偶然が重なりメタルバンド換装済みの「GCBT987」を購入できたことを神様に感謝しよう。
はっきり言おう、クレドールに於いてメタルバンドではないものはクレドールの良さの半分しか堪能出来ていない。特にこのノードシリーズに関してはそう思う。
それぐらいにこのバンドは素晴らしい。
酒は飲まないがバンドをオカズに酒が飲めるくらいだ。
何故ここまでこのバンドが私の心を惹きつけたのだろう。
今まで私はこのタイプのメタルバンドを所有したことがないからかも知れない。
3〜9連のブレスは装着したことがあるがこのバンドはよく見ればコマとコマの連結部(中コマ)があるので2連なのだがパッと見は横長の1つの長方形のコマが連なっているように見える。
真っ直ぐの状態の場合各コマが隙間なくキッチリ収まりそれはそれで綺麗だ。しかし腕に巻けばバンド全体は円形状になる。その時、コマ同士に僅かな隙間が生まれるのだがその際の輝いている部分と陰影とのコントラストがまた綺麗なのだ。
(⬆️逆に開いていない丸部分以外を見て頂くと全く隙間がない。恐るべし工作精度だ。)
これが腕を動かすたびコマの開く場所が変わるのでその陰影の場所が変わり遠目からはキラキラ輝いて見えるのだ。
私はこのバンドにマイナスの美学の良さを感じたのかも知れない。今までの私の時計コレクションはとにかく足し算、プラス、プラス、プラスだ。
カンパノラもそうだがガランテはその極致ではないか。
ゴテゴテしているものはそれだけである程度高そうに見える。しかしシンプルの中に高級感を出すのには誤魔化しが効かない。
その代表的なのがグランドセイコーだろう。(最近のグランドセイコーはゴテゴテしてきているが)
もしかするとこのクレドール購入は私の時計への向き合い方を変えてしまう一本になったのかもしれない、、、
そういえば面白い動画があるので紹介しよう。
今回SEIKO社の仕上げの良さを伝えてきたがそれを証明するような動画になる。英語だが映像を見れば理解できるだろう。
https://m.youtube.com/watch?v=hKrJOMaFuyA&t=606s
ロレックスvsグランドセイコーvsランゲ&ゾーネ
他社を貶めるつもりはない。品質の良さと人気と価格というのは必ずしも一致するわけではないのだろう。
ただ日本人が1番SEIKO社に対してリスペクトが欠けているのではないか?という疑問を投げ掛けて今回のセイコー クレドール ノードGCBT987のレビューを終わろうと思う。
それでは。